腸がつくる「酪酸」が老化細胞に関係する可能性
最近、「腸活」と「アンチエイジング」の関係に注目が集まっています。
その中でも研究者たちが注目しているのが、「酪酸(らくさん)」という成分です。
酪酸は、オートミールや大麦、豆類、野菜などに含まれる食物繊維を腸内細菌が発酵することで作り出される短鎖脂肪酸のひとつです。
実はこの酪酸に、“老化細胞”の働きを抑える可能性があることが近年の研究でわかってきました。
老化細胞とは?
私たちの体では、年齢とともに「老化細胞」と呼ばれる細胞が増えていきます。
老化細胞は完全に死んでいるわけではありませんが、周囲に炎症を起こす物質を放出し続けることがあります。
この慢性的な炎症は、
・老化の進行
・免疫機能の低下
・生活習慣病
・認知機能の低下
などとの関連が指摘されています。
そのため近年は、「老化細胞を減らす」「老化細胞の悪影響を抑える」という研究が世界中で進められています。
腸内細菌がつくる“酪酸”に注目
海外の研究では、加齢によって酪酸を産生する腸内細菌が減少すると、老化細胞の蓄積や慢性炎症が進みやすくなる可能性が報告されています。
さらに研究では、酪酸を加えた免疫細胞で老化細胞の特徴が抑えられ、炎症性物質の分泌も低下することが確認されました。
研究チームは、酪酸が細胞のダメージや炎症シグナルを抑えることで、“老化細胞をおとなしくする働き”を持つ可能性があると考えています。
オートミールが注目される理由
オートミールには水溶性食物繊維の「β-グルカン」が豊富に含まれています。
この食物繊維は腸内細菌のエサとなり、酪酸などの有用な短鎖脂肪酸の産生をサポートすると考えられています。
そのため最近では、
「オートミールは腸活に良い」
「腸内環境から老化対策を目指す」
という考え方が広がっています。
もちろん、オートミールを食べるだけで若返るわけではありません。
しかし、腸内細菌がつくる酪酸が健康寿命に関わる可能性が見えてきたことで、食物繊維の重要性が改めて注目されているのです。
サプリメント市場でも人気上昇
最近は酪酸菌サプリメントや酪酸配合サプリメントも増えています。
腸内環境改善を目的とした商品が中心ですが、研究者の間では「腸内細菌が作る酪酸」と老化、免疫、脳機能との関係についても研究が進められています。
ただし現時点では、人でのアンチエイジング効果が確立されたわけではありません。
多くの研究は細胞実験や動物実験の段階であり、今後の臨床研究が待たれています。
“老化は避けられないもの”と思われてきましたが、近年は「老化のスピードは調整できるかもしれない」という研究が急速に進んでいます。
そのカギのひとつとして注目されているのが腸内環境です。
毎日の食事で摂る食物繊維が、腸内細菌を通じて体の未来に影響する――。
オートミールや野菜、豆類などを取り入れた食生活は、腸だけでなく健康寿命にも関係しているのかもしれません。